GO Forward with AIで、AIは覚えるものから、仕事に持ち込むものへ。OpenAIとGrabが、東南アジアのドライバー・配達・加盟店パートナー3万人に、売上の読み方や新しい商売の考え方を対面のワークショップで教えます。シンガポールから始まり、各国へ広がります。
ChatGPTは入れてみたものの、自分の売上や配達の仕事にどう使えばいいのかは分からない。GO Forward with AIが向き合っているのは、その足踏みです。
KPEはOpenAIの発表資料を読み、研修の対象人数、始まる国と広がる順番、ワークショップで実際に何を作るのかを確かめました。
読み終えるころには、日本の読者が自分の仕事でAIを試すとき、どこから手をつけるかの見取り図が手元に残ります。
1. 3万人に、AIの使い方を教える
発表の中身を一言でいえば、研修です。OpenAIとGrabが、東南アジアのドライバー・配達・加盟店のパートナー3万人に、仕事で使えるAIの手つきを教える。期間は2年。始まりはシンガポールで、そこから国をまたいで広がっていきます。新しいモデルでも新しいアプリでもなく、使い方そのものを配るという発表です。
01 対象は、Grabのパートナー3万人
GO Forward with AIは、OpenAIにとって初めての地域単位のスキル研修プログラムとして紹介されています。対象になるのは、Grabのドライバー、配達、加盟店のパートナー。東南アジア全体で3万人を、これから2年かけて回していく計画が示されました。
Grabは東南アジアのスーパーアプリです。日々、売れ行きを見て、在庫を決めて、値引きをいつ出すかを迷っている人たちがいる。発表資料はその迷いを名指ししたうえで、AIは役に立つけれど、役立つ使い道を見つけるには練習がいる、と書いています。練習という言葉が、この発表のいちばん正直なところです。
02 シンガポールから、6か国へ
開始はシンガポール、発表と同じ日です。年内にタイ、インドネシア、フィリピンへ広がり、2027年にマレーシアとベトナムが加わります。国の数でいえば6か国。広がる順番まで先に公開されているのは、行き当たりばったりで配るつもりがない、という意思表示でしょう。
この取り組みは、OpenAI for Singaporeの一部としても位置づけられています。現地の相手と組んで、その土地の人と会社がAIを使えるようにする。世界に同じ教材を撒くのではなく、国ごとに開いていく形です。
| 国 | 開始時期 |
|---|---|
| シンガポール | 2026年9月23日に開始 |
| タイ | 2026年内 |
| インドネシア | 2026年内 |
| フィリピン | 2026年内 |
| マレーシア | 2027年 |
| ベトナム | 2027年 |
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下ごしらえはChatGPT Workに。人は判断に時間を使える
ChatGPT Workで、IPO準備の「最初のたたき台」づくりが変わります。国際法律事務所のCooleyが、OpenAIの技術で自社のAIサービス「GO Public」を組み上げました。山のような情報をAIが先に仕分け、弁護士と経営陣は判断に時間を使います。180件の案件を助言してきた事務所が選んだのは、速さそのものではなく、質へ早く着くための道筋でした。
2. ワークショップで、何を作るのか
ワークショップは対面で、半日。教材はOpenAI Academyのカリキュラムをもとに、国ごとのパートナーの仕事に合わせて作り直されます。手を動かして作るのは、売上データのダッシュボード、簡単なウェブサイト、事業の拡大計画。出てきたものを自分で見直し、その先の判断は自分で下す——そこまでが一続きの流れとして書かれています。
01 ChatGPT Workに、大きめの仕事を渡す
ワークショップで参加者が触るのは、ChatGPT Workです。発表で挙がっている題材は3つ。売上データをダッシュボードにする、簡単なウェブサイトを立てる、拡大計画を作る。どれも、これまでなら誰かに頼むか、あきらめるかだった作業です。
大事なのは、そのあとに添えられた一行のほうです。参加者は出てきたものを確かめ、その先の判断を自分で下す。AIに決めさせるのではなく、決めるための材料を早く手に入れる。研修の設計がそう組まれているのが読み取れます。
02 ドライバーが、商売の種を考える
もうひとつの柱は、まだ形になっていない商売のほうです。ドライバーや配達パートナーがChatGPTに新しい商売の案を相談し、何で目立てるかを考え、始めるための計画に落とす。加盟店なら、売れ方の傾向を探したり、販促を組んだり、需要の変化に備えたりする使い方が挙げられています。
シンガポールのドライバーパートナー、Suhada Abdullahさんは、ワークショップで案から実行まで来られたと語り、家業のホーカー店を助ける方法や、別の収入の柱になりそうな取り組みを探していると話しています。誰かの大きな話ではなく、一人の台所の話として出てくるのが、この発表の手ざわりです。
03 教える人を、先に増やしておく
もうひとつ、地味に効く仕掛けがあります。OpenAIとGrabは、GrabAcademyの講師そのものを訓練する。研修を受けた講師が、あとから自分たちで同じ研修を回せるようにするためです。3万人という数字の裏に、それを支える人を先に作っておくという段取りが置かれています。
外から来た誰かが一度教えて帰る形なら、終わった時点で止まります。教える人が現地に残れば、続きは現地の速さで進む。派手さはありませんが、2年という期間の意味はここに出てきます。
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AIの請求書の向こう側が、ChatGPT Workで見えるようになる
AI導入効果が、利用量ではなく仕事の中身で見えてきます。OpenAIは、ChatGPT WorkとCodexの利用状況・費用・業務の内訳・成果を管理画面でまとめて確かめる方法を公開しました。営業チームの試算では、年5,520時間の余裕が生まれる計算です。数字の先に、人の時間がある。
3. 日本の読者に、何が持ち帰れるか
この発表がおもしろいのは、参加者がAIに冷たいわけではない、という前提から始まっている点です。Grabがシンガポールのドライバーパートナーに聞いた調査では、半数がすでにAIツールを使っていて、使っていない人の87%は試してみたいと答えている。いちばん知られていたツールはChatGPT。足りないのは意欲ではなく、自分の仕事に引き寄せる練習だ、という読み方になります。
01 半数が使い、87%が使ってみたい
数字を並べ直すと、こうなります。シンガポールのドライバー・配達パートナーのうち、半数はすでにAIツールを使っている。残りのうち87%は、使うことに前向き。そして多くが、いまの商売を大きくしたい、あるいは新しく始めたいと答えています。
日本の読者にも、心当たりのある構図ではないでしょうか。アプリは入れた。話しかけてもみた。それでも、自分の仕事のいちばん面倒なところに持っていったことは、まだない。距離があるのは技術ではなく、持っていき方のほうです。
02 Driver AI Assistantが、先にあった
OpenAIとGrabの付き合いは2024年から続いています。OpenAIのモデルで動くDriver AI Assistantは、需要のある場所を探したり、時間の使い方を整えたり、日々の疑問に答えたりする道具として、50万人近いドライバーに届いてきました。
今回のGO Forward with AIは、その上に積まれています。道具を渡す段階から、使う時間と手引きを渡す段階へ。同じことを自分の環境に置き換えるなら、便利な機能を探す時間より、自分の困りごとを持ち込んで試す時間を取るほうに、伸びしろがありそうです。
4. 明日の仕事で、何を試すのか
で、日本にいる読者は何をすればいいのか。この研修、日本での実施は公式発表では未公表です。でも、中身のほうは公開されている。教材の元はOpenAI Academyのカリキュラム、題材は売上データのダッシュボード、簡単なサイト、拡大計画。真似できる形で、全部書いてある。参加を待たなくても、今日から始められます。
01 今日、手元で試せること
ワークショップの題材は、そのまま一人でも試せます。手元にある売上や記録をChatGPTに渡して、傾向を探してもらう。自分の仕事を一枚のページにまとめてもらう。半年後にどう広げたいかを相談して、計画の形にしてもらう。3つとも、発表資料に書かれているそのままです。
大事なのは、出てきたものを鵜呑みにしないところまで含めて真似することです。発表でも、参加者は出力を見直し、そのあとの判断を自分で下す、と念を押されています。AIに預けるのは下ごしらえ。味を決めるのは、こちらの仕事です。
02 向く人と、急がなくていい人
向いているのは、相談する相手が近くにいない人です。発表資料の言葉を借りれば、情報を分析したり、案を育てたり、次の一歩を決めたりするのを手伝う大きなチームを持たない加盟店や、プラットフォームで働く人。ここに自分が入るなら、練習の効きめが大きいところを狙えます。
逆に、すでに数字を見る仕組みがあって、相談相手もいるなら、慌てて何かを変える話ではありません。それでも、3万人が2年かけて練習を始めるという事実だけは、頭の隅に置いておきたい。使える人が増えるというのは、比べられる相手が増えるということでもあります。
5. よくある質問
GO Forward with AIとは何ですか
OpenAIとGrabが立ち上げた、東南アジア向けの地域スキル研修プログラムです。2年かけて、Grabのドライバー・配達・加盟店パートナー3万人が、仕事や商売で使える実務的なAIスキルを身につけることを目的にしています。
誰が参加できますか
対象はGrabのドライバーパートナー、配達パートナー、加盟店パートナーです。半日の対面ワークショップが各国で開かれ、OpenAI Academyのカリキュラムを土台に、その国のパートナーの仕事に合わせて内容が調整されます。
どの国で受けられますか
シンガポールで2026年9月23日に始まり、年内にタイ、インドネシア、フィリピンへ広がります。2027年にマレーシアとベトナムが加わり、挙がっているのは6か国です。日本は発表に含まれていません。
参加に費用はかかりますか
費用については公式発表では未公表です。発表資料で示されているのは、半日の対面ワークショップであること、OpenAI Academyのカリキュラムが元になっていること、GrabAcademyの講師も訓練されることの3点です。
ChatGPT Workでは何をしますか
ワークショップでは、ChatGPT Workにやや大きめの作業を任せます。発表で挙げられているのは、売上データをダッシュボードにする、簡単なウェブサイトを作る、拡大計画をまとめるの3つ。出てきたものは参加者が自分で見直します。
Driver AI Assistantとの違いは
Driver AI Assistantは2024年から提供されているOpenAIモデル搭載の道具で、需要のある場所探しや日々の疑問への回答に使われ、50万人近いドライバーに届いています。今回はその上に、自分の目標にAIを試すための時間と手引きを重ねる取り組みです。
6. まとめ
新しいモデルの発表ではありません。使い方を配る、という発表です。OpenAIとGrabは2年かけて、東南アジアの3万人に、売上を読む、案を形にする、計画を立てるという手つきを教えていく。シンガポールから始まり、年内にタイ・インドネシア・フィリピン、2027年にマレーシアとベトナム。日本の読者が今日できるのは、その題材を自分の仕事に置き換えて、一度やってみることです。使い方は、教わって終わりではなく、自分の手で試して残るもの。
- 対象:Grabのドライバー・配達・加盟店パートナー3万人
- 期間:2年。シンガポールで開始し6か国へ
- 教材:OpenAI Academyの内容を国ごとに調整
- 作るもの:売上ダッシュボード、簡単なサイト、拡大計画
- 今日やる:その3つを自分の仕事で一度試す






