窓、玄関ドア、シャッター。どれも、家を建ててから20年は替えない物です。そこに後からスマートホームをつなごうとすると、いつも壁になるのが「古い端子」でした。
Vol.1 と同じパネルで、YKK APの潮地良明さんが見せたのは、手のひらに乗る四角い箱1つ。同じパネルの取材です(取材の方法は Vol.1 に書きました)。製品の正式名・価格・発売日は、取材日の時点で未発表です。

1. 古い端子を、そのままMatterへ。
JEM-A(HA端子)は、日本の家電と住宅設備をつなぐための古い規格です。潮地さんによると、もとはエアコンのための端子でした。電気錠の玄関ドアやリモコンシャッターには、これが付いていることが多い。YKK APは2020年1月から、JEM-A端子付きのシャッターと玄関ドアを、家のエネルギー管理の機器(HEMS)とつないできました。
今回の箱は、その JEM-A を受けて、Matterの言葉に置き換えます。Matterには、古い規格の機器を仲間に入れる「ブリッジ」という仕組みがあり、それを使っています。
司会の新貝文将さんは「シンプルですけど、めちゃめちゃ画期的」と反応しました。マメさんは、リノベーションでスマートホームにしたい人ほど玄関が電気錠になっていて、両面テープで貼る後付けのスマートロックが付けにくい、と現場の困りごとを挙げています。
2. 散らかっているのは、機器とサービスの側。
潮地さんは、LIVING TECH協会がまとめた日本のスマートホームの業界地図(カオスマップ)を映しました。サービスの入口は大きく3つに分かれる、という読み方です。
エネルギー管理はすでに ECHONET Lite でそろっていて、残る仕事は補助金とデマンドレスポンス(電力会社の呼びかけで使う量を変える仕組み)への対応くらい。散らかっているのは機器とサービスの側で、お客さんは何を選べばいいか分からない。そこを片付ける道具として、YKK APはMatterを選びました。
3. ハブを、本体の外に出した理由。
潮地さんの話でいちばん住宅メーカーらしかったのが、ここです。ドアや窓は買い替えない。だから20年、付き添い続けるのはメーカーの責任になる。その前提から、ハブをドアの中に組み込まず、外付けのアダプターにしました。
潮地さんは、Matterの特徴の中でもマルチアドミンを一番に挙げました。Apple、Google、Amazon、どれを選ぶかは住む人が決めて、玄関はそのどれにも応える。社内で「Matter親父」と呼ばれていた、という話で会場が笑いました。
4. 「つながる状態で引き渡す」家へ。
最後に潮地さんが映したのは、家を建ててから住む人に渡すまでの手順でした。新貝さんも身を乗り出した1枚でした。
住宅の作り手が全部の設定を済ませて渡すのではなく、つながる口だけを用意して渡す。どの機器を足すか、どのアプリで動かすかは住む人が決める。これは Vol.1 で新貝さんが話していた「Matter Ready Home」と同じ考え方です。一方で HOMETACT の橘嘉宏さんは「全員がマメさんではない」と返しました。初期設定には、まだ人の手が要る場面が残る、という現場の声です。
新貝さんが「Matter Ready Home」の説明で見せたスライドの内容を、私が 3 枚に組み直しました。
5. いまの家で、確かめておくこと。
映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』では、マーベルシリーズに登場する人工知能AIのF.R.I.D.A.Y.が、装備の残量と損傷を、聞かれなくても声で報告していました。家で近いのは、電池・在宅・戸締まりを、こちらから聞かずに知らせる形です。玄関の鍵をホームアプリに載せるのは、その戸締まりの入口になります。
この箱が出たとき使えるかどうかは、いまの玄関で見分けられます。
発売の発表が出たときは、別の記事にします。YKK AP の電気錠でない玄関なら、Matter対応のハブから始める方法を Vol.1 に書きました。Matterの規格そのものの話はVol.1、賃貸マンションに家ごとスマートホームを入れるHOMETACTの話はVol.3に書きました。
FIELD REPORT — CEATEC 2026 / HB-145 CEATEC 2026 取材 Vol.1 MATTERアプリを増やさない家は、Matterから始まる。 Matter対応の機器は、箱のQRコードを読むだけで登録でき、A … FIELD REPORT — CEATEC 2026 / HB-145 CEATEC 2026 取材 Vol.3 HOMETACT入居した日から、家が動く部屋が増えている。 HOMETACT(ホームタクト)は、賃貸マンションや分譲住宅にスマ … 作中でトニーがJ.A.R.V.I.S.とF.R.I.D.A.Y.に出した指示を21件数え直し、2026年の市販品でどこまで届くかを1件ずつ突き合わせました。そのまま作れるのは7件です。

アプリを増やさない家は、Matterから始まる。

入居した日から、家が動く部屋が増えている。
現実版J.A.R.V.I.S.の作り方2026 — Alexa+・HomePod・Geminiで家をAI化する
6. 画像の出典
- ① CEATEC 公式サイト「コンファレンス」ページの会場写真(取得日 2026-10-15)。公式サイトの掲載画像を、出典を明記して使用しています。権利者からの取り下げのご連絡は、お問い合わせからお願いします。
7. 出典
- YKK AP:リモコンシャッターや玄関ドアがHEMS機器と連携開始(2020年1月9日)
- Connectivity Standards Alliance 日本支部「CEATEC 2026」出展の発表(2026年9月1日)
- Matter Ready Home の整理:新貝文将さん(X-HEMISTRY)の会場スライド(2026年10月14日)をもとに、私が要約
- ハブの説明・カオスマップ・引き渡しの手順:CEATEC 2026 HB-145 での潮地良明さんの発表(2026年10月14日)




