Reflection Beam は、重みごと自分の手元に置ける 501B のモデルです。借りるのではなく、自分のハードウェアで動かし、自分の用途に合わせて中身を替えられる。クラウドの向こうにあった頭脳が、所有できるものとして降りてきました。部屋の J.A.R.V.I.S. の、中身の話です。
自分の部屋で動く AI を組みたいのに、強いモデルはいつもクラウドの向こう側にあって、Reflection Beam のような発表も「どこかの企業の話」として通り過ぎていく。
私が発表を読んで確かめたのは、Beam が Apache 2.0 で、501B の重みそのものごと公開されているということでした。
読み終えるころには、自分のハードウェアに置くのか、まず用意された環境で試すだけにするのかを決められます。

1. 501B の重みが、借り物でなくなる
Hugging Face で Beam が公開されました。Reflection という新しい米国のラボの最初のモデルで、501B のパラメータを持ち、Apache 2.0 で出ています。重みが公開されているというのは、誰かのサーバーを借りる前提が外れるということ。自分のハードウェアに置いて、自分の用途に合わせて中身を替えられる側に回ります。
01. 借りるのではなく、置く
これまで大きなモデルに触るというのは、誰かのクラウドに話しかけることでした。月ごとの請求、回数の上限、向こう側の都合でモデルが入れ替わること。どれも自分では決められない。Beam は重みそのものが公開されているので、置き場所を自分で決める側に回れます。
部屋の J.A.R.V.I.S. を自分で組むなら、声で呼ぶ部分や家電をつなぐ部分の手前に、考える部分が要ります。Beam が担うのはそこ。借りてきた頭脳を、自分の家の中身に入れ替える話です。

02. 501B のうち、動くのは 23B
501B は全体の大きさです。実際に 1 つのトークンを計算するとき、動くのは 23B ぶんだけ。52 層のうち 49 層が 256 人の専門家を抱えていて、そのうち 8 人だけが呼ばれる造りになっています。専門家が重みの 98.4% を持っています。
容量は大きいモデルのまま、速さは小さいモデルに寄る。ただし眠っている専門家も全員メモリに居るので、置くための場所は 501B ぶん要ります。大きく構えて、小さく動く。そういう設計です。
Hugging Face と Reflection の発表による
2. 速さは 23B、記憶は 1M トークン
体感として変わるのは、待ち時間と、どれだけ覚えていてくれるかの二つです。計算に動くのは 23B ぶんなので、応答は 501B という見た目よりも軽い。文脈は 1M トークンまで入る。しかも長い文脈のためにメモリが膨らむ速さを、造りの側で抑えています。
01. 256 人のうち、8 人だけ働く
ルーターが 256 の専門家に点数をつけ、8 組に分け、良い 4 組を残し、その中から上位 8 人を選びます。選ばれた 8 人の答えだけを混ぜて次へ渡す。残りは眠ったまま。DeepSeek-V3 と同じ組の分け方で、共有の専門家は置いていません。
最初の 3 層は全員で考える普通の層で、残りがこの仕組みです。重みの置き場所の話は、ほぼ専門家の話になります。BF16 の重みは safetensors で約 1 TB。ここが現実の重さです。
02. 考える深さを、5 段階で選ぶ
low、medium、high、xhigh、max の 5 つ。既定は medium です。急ぎの用には浅く、込み入った相談には深く。同じモデルのまま、かける時間を自分で決められます。推論を会話のあいだ残しておく指定も用意されています。
発表では 5 つの課題を low と high で一度ずつ走らせています。多段の道具呼び出し、端末の中の修理、崩れた記録を厳格な JSON に直す作業は low でも通り、コードベースの読み取りと数学の証明は high で通った。深さの選択は、速さと粘りの取り替えです。
03. 長い文脈でも、メモリが膨らみにくい
52 層のうち 43 層は直前 512 トークンだけを見る窓で、残りの 9 層が全体を見ます。窓の層は一定の量で止まるので、文脈が伸びてもメモリが増えるのは 9 層ぶんだけ。1 トークンあたり 208 KiB 増えるはずのところが、36 KiB で済みます。
長い文脈は、読ませられるかどうかではなく、置けるかどうかで決まります。その差を造りで作っているので、1M トークンという数字が飾りにならずに残る。ここが長い作業を任せるときの余裕になります。
1 配列あたり、BF16、transformers の動的キャッシュで
3. 中身を入れ替える、という遊び
所有の話が面白くなるのは、ここからです。重みが公開されているので、自分のデータで性格を変えられます。発表では TRL で教師ありの微調整、Miles で強化学習のレシピが用意されています。501B を全部更新しなくていい——小さなアダプタだけを育てる道が、最初から示されています。
01. 501B を凍らせて、小さく学習させる
LoRA は、ベースの重みを凍らせたまま小さなアダプタだけを学習させる方法です。TRL の SFTTrainer に載せ、読み込み時のモデル分割、専門家の並列、FlashAttention 4、系列の詰め込みを組み合わせた構成が示されています。
試されたのは「ユーザーが求めた言語のまま考える」という小さな目的でした。Multilingual-Thinking というデータで学習させたところ、求めた言語のまま推論するようになった。言語の守り方を見た確認で、推論の正しさを測ったものではありません。
02. 強化学習まで、レシピがある
Reflection と RadixArk が、Miles で GRPO を回すレシピを組んでいます。Megatron が学習し、SGLang が応答を作り、更新のたびに新しい重みが応答側へ配られる。全パラメータを更新する道と、LoRA でアダプタだけを育てる道の両方があります。
1 回のロールアウトでは 32 のプロンプトに 8 つずつ答えさせ、囲みの答えを正解と照らし、256 件まとめて 1 回だけ最適化する。次のロールアウトは今の学習と並べて作られます。手で組むと面倒な段取りが、そのまま置かれています。
横へ送る→
4. 借りるか、持つか。いま決められること
結論から。Blackwell 世代の GPU が手元にあるなら、自分のところで立てる余裕があります。無いなら、まず用意された環境で触って、自分の用途で粘れるかを確かめる。どちらにしても、重みが Apache 2.0 で出ている以上、様子を見るだけの時間はもう短くて済みます。
01. 自分はどの側にいるか
一番現実的な置き方は NVFP4 の重みです。BF16 で 1 TB ある 501B が、およそ 280 GB まで縮む。B200 は 1 枚 180 GB なので 2 枚で入りますが、活性値と KV キャッシュの余地がほとんど残らない。長い文脈と同時アクセスを見るなら 4 枚で 720 GB を見ておく構成が案内されています。
NVFP4 をそのまま走らせられるのは Blackwell 世代。H200 のような前の世代では FP8 の重みを使います。8 枚の B200 ノード、288 GB の B300 を 2 枚、RTX Pro 6000 を 8 枚——どれも案内に並んでいる形です。
02. 作って、置いて、共有する
ここが面白いところ。Reflection は Beam を使った良い企画に、10,000 ドルぶんの Hub クレジットを出すと言っています。Spaces でデモを作る、好きなハードウェア向けに量子化する、合成データを作る、強化学習の環境を組む、測って結果を共有する。モデルのリポジトリページで共有するだけです。
自分の部屋の J.A.R.V.I.S. の真ん中を、借り物から自分の持ち物に替える。その入口が今日いきなり開きました。重みは公開され、動かし方も、学習のさせ方も、一緒に置かれている。あとは何を作るかを決めるだけ。
5. よくある質問
Beam は無料で使えますか?
Apache 2.0 で公開されています。重みそのものが Hugging Face に置かれているので、自分のハードウェアで動かし、自分のデータで学習させられます。使い始めるのに申請や審査の手続きは出てきません。
どんな用途に向いたモデルですか?
コーディングとエージェント的な使い方に向けて作られた、文字だけを扱うモデルです。1M トークンの文脈、道具呼び出し専用の文法、Rust で書かれた専用のハーネスが一緒に配られます。長い作業を任せる側の設計です。
普通のパソコンで動きますか?
現実的な置き方は NVFP4 の重みで、それでも約 280 GB です。B200 なら 4 枚、B300 なら 2 枚といった規模が案内されています。手元にその環境が無い場合は、Inference Providers から触って確かめる形になります。
H200 でも動かせますか?
NVFP4 をそのまま走らせられるのは Blackwell 世代だけで、H200 では走りません。前の世代には FP8 の重みが用意されています。SGLang なら 8 枚でテンソル並列、注意機構の実装を fa3 に替える形が案内されています。
日本語で考えさせられますか?
求めた言語のまま推論させる微調整が、例として示されています。Multilingual-Thinking というデータに LoRA で 1 エポック学習させたところ、保留した 16 問すべてで指定の言語のまま考えた。元のモデルは 3 問でした。
どのライブラリで動きますか?
transformers、SGLang、vLLM が公開初日から対応しています。DFlash2 の投機的デコードを足すと、下書き役が先の token を提案して一度にまとめて確かめられます。学習は TRL と Miles にレシピがあります。
6. まとめ
借りるのをやめる、という選択肢が増えました。501B の重みが Apache 2.0 で置かれ、1 トークンで動くのは 23B、文脈は 1M トークン。NVFP4 なら約 280 GB まで縮み、Blackwell 世代があれば自分のところで立てられる。無ければ用意された環境で触って、自分の用途で粘れるかを見てから決める。部屋の J.A.R.V.I.S. の考える部分を、自分の持ち物にする。その道が今日から通っています。
- 重み:Apache 2.0 で Hugging Face に公開
- 置き場所:NVFP4 で約 280 GB、BF16 なら約 1 TB
- GPU:NVFP4 は Blackwell、前の世代は FP8
- まず試す:手元に無ければ Inference Providers から
- 育てる:TRL で LoRA の微調整、Miles で GRPO
7. 画像の出典
- ① Hugging Face 公式発表・表示の安定のため当サイトのサーバーで配信




