J.A.R.V.I.S. ライフスタイル

入居した日から、家が動く部屋が増えている。

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FIELD REPORT — CEATEC 2026 / HB-145
CEATEC 2026 取材 Vol.3
HOMETACT入居した日から、家が動く部屋が増えている。
HOMETACT(ホームタクト)は、賃貸マンションや分譲住宅にスマートホームを最初から組み込むサービスです。2026年4月に三菱地所から分社して会社になりました。CEATEC 2026のパネルで、共同代表の橘嘉宏さんが、入れた物件で家賃が上がった例を話しました。
✍️ STARK | 取材日 2026-10-14 | 確認日 2026-10-14

スマートホームを始めようとして、ハブを買い、アプリを入れ、家電を1台ずつ登録して、途中でやめた。そういう人は少なくないはずです。HOMETACTが入った部屋では、その手順を入居者がやりません。引っ越した日にアプリにログインすれば、部屋に付いている照明やエアコン、鍵が、もう動きます。

Vol.1 と同じパネルで、HOMETACTの橘嘉宏さんが登壇しました。数字は、会社の発表と、会場での発言を分けて書いています。

CEATEC 2026 のキービジュアル(Transformation・10月13日から16日・幕張メッセ)
VIEW 00 — CEATEC 2026 のキービジュアル(出典:CEATEC 公式サイト)

1. 4月に、会社になった。

HOMETACTは、三菱地所の社内事業として始まったスマートホームのサービスです。2026年4月1日から株式会社HOMETACTとして事業を始め、共同代表は松本太一さん(CEO)と橘嘉宏さん(COO)。橘さんはもともと不動産会社の出身で、パネルでは、不動産会社が採用しないかぎり、スマートホームは広がらないと言い切りました。

だから売り方は、入居者に直接ではなく、不動産会社を通して部屋ごと入れる形(BtoBtoC)です。外の会社への販売は2022年の後半に始め、いまは全国に広がっています。

SCALE — 4月の発表と、10月の会場READ 01
連携できるメーカー30社2026年4月の会社の発表。10月の会場では「35メーカー以上」
つなげる機器200種類以上4月の発表。10月の会場では「670機種以上」
導入エリア44都道府県4月の発表。10月の会場では45都道府県
大きい数字が4月の会社の発表、下の行が10月の会場での発言

2. 家賃の数字を、不動産会社は見ている。

経済的な効果がなければ、不動産会社は動かない。橘さんはそう言って、家賃の数字を映しました。会社の発表では、すでに建っている物件で、家賃が最大30%超上がった例があるとしています。会場では、家賃の査定サービスを持つ外の会社のデータで「16%」という数字も挙げました。

RENT — HOMETACTを入れた物件の家賃READ 02
会社の発表(2026年4月)最大30%超既築物件で家賃が上がった例の上限。平均ではない
会場での発言(2026年10月)16%外の会社のデータとして紹介
どちらも HOMETACT 側が示した数字。調べた物件の数・期間と、16%が平均か割合かは公表されていない

司会の新貝文将さんは、事業の立ち上げの頃の話を明かしました。アメリカでは「スマートホームにすると家賃が上がる」は当たり前に言われていて、何度もそう説明した。けれど橘さんは「日本は違いますよ」と返したし、取引先からは「入れて家賃が下がったら、誰が責任を取るの」と言われた。それから数年で、実際の物件で家賃が上がった例が出てきた、と新貝さんは振り返りました。

3. 入居者は、ログインするだけ。

HOMETACTの作りで入居者に関わるのは、ここです。機器は最初から部屋に組み込まれていて、入居者は自分で設定せず、ログインするだけで使えます。橘さんは、入れたあとも使い続けられることが家賃に表れる、と話しました。使われないスマートホームでは、部屋の価値は上がらない、ということです。

MOVE IN — 入居者がやることFLOW 03
部屋に入る機器は組み込み済みアプリにログイン設定はしない家が動く照明・エアコン・鍵など
どの機器が付いているかは物件ごとに違う

不動産会社の側も変わってきた、と橘さんは言います。2027〜2028年に計画されているマンションでは「スマートホームが入っていないとまずい」が、もうはっきりしてきた。どの地域でも、入れないと競争できない、と不動産会社自身が分かってきたそうです。新築の数は減っていくので、管理会社も「管理しているだけ」ではいられない。住んでいる間の価値をどう上げるかが、これからの一番のテーマだという話でした。

同じパネルで新貝さんが見せたスライドの内容を、私が 3 枚に組み直しました。

売り切りから LTV へ — 従来

01. 売った時点で、収益が止まる

家を売ったときに売上が立ち、そのあとの付き合いは細くなります。住宅メーカーは箱を売る存在、という整理です。

01 / 03
横へ送る →
売り切りから LTV へ — LTV 型

02. 売ったあとも、価値を届け続ける

売ったあとも、機器の追加やエネルギー、点検で関係が続きます。売上が一度で終わらず、住んでいる間じゅう積み上がる形です。

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横へ送る →
売り切りから LTV へ — 提供できる価値

03. 3 つの例

電気代まわり:光熱費の見直しと、電力をまとめて融通する仕組みとの連携機器の追加:増やす機器の選び方と設定、見守り点検:機器の状態を見て、交換や更新を知らせる

VPP は、家庭の電池や機器の電力をまとめて、発電所のように扱う仕組みです。

03 / 03

4. 次は、Matter。

HOMETACTはこれまで、ECHONET Lite や赤外線を使い、メーカーと1社ずつ交渉してつなぐ先を広げてきました。司会の新貝さんが開発の苦労に水を向けると、橘さんは笑って認めました。次の手がMatterです。昨年、Matterを決める団体の日本支部に加わりました。

NEXT — Matterで変わることLOG 04
カーテン・スマートロック・照明から対応を始めるNOTICE 1
対応の時期と機器の一覧は、発表が出たら別の記事にします

AIの話になると、橘さんは少し身構えていました。今年9月のIFA(ベルリンの家電見本市)は「MCPの衝撃」だった、と。AIが家の機器を直接動かす口(MCP)を、各社が開け始めている。家の“頭”をみんなが取りに来ていて、「不動産屋が顧客接点と言っている場合じゃない」。HOMETACTは自前のAIを作る立場にはないので、MCPへの対応を進めて使い勝手を上げる方向に進む、という考えでした。

5. 部屋を探すときに、見ておくこと。

映画『アイアンマン』のトニーは、マーベルシリーズに登場する人工知能AI(J.A.R.V.I.S.)に、作業場の照明・音楽・機材を声だけで動かさせていました。いまは賃貸の部屋でも、照明・空調・鍵を声ひとつで動かすところまで来ています。

家ごと動かしたくても、賃貸の部屋では、壁に配線を通す自由がありません。だから、最初から組み込まれた部屋を選ぶか、配線の要らない機器で始めるか、の2つになります。

CHECK — 内見で訊くことTASK 05
スマートホームが組み込まれているか(HOMETACTなど)どの機器がアプリから動くか(照明・エアコン・鍵・給湯)自分のスマートスピーカーやホームアプリとつなげるか
3つ目は、Matter対応が進めば広がる部分

いまの部屋で始めるなら、壁に手を入れずに置けるハブが入口になります。家にある赤外線リモコンの家電の一部(対応する種類は SwitchBot の公式で確認)を、アプリから呼べるようにして、Matterのブリッジとして Apple ホームや Google Home にも渡せます。引っ越すときは、外して持っていけば済みます。

SwitchBot ハブ3 / 赤外線リモコンの家電の一部をまとめる・Matterのブリッジに対応 / 価格はリンク先で確認

Matterの規格そのものの話はVol.1、古い電気錠をMatterにつなぐYKK APの話はVol.2に書きました。


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20年使う玄関ドアに、Matterの口を付けた。

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Amazon Echo Show 8 最新モデル
現実版J.A.R.V.I.S.の作り方2026 — Alexa+・HomePod・Geminiで家をAI化する

作中でトニーがJ.A.R.V.I.S.とF.R.I.D.A.Y.に出した指示を21件数え直し、2026年の市販品でどこまで届くかを1件ずつ突き合わせました。そのまま作れるのは7件です。

6. 画像の出典

本記事の冒頭の画像

7. 出典

本記事で確かめた一次情報

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